私が介護職を目指した理由〜現役介護福祉士の母親が教えてくれたこと〜

高校生だった私、進路に悩む

高校生の頃、周りの友人たちが進学や就職といった進路を決めていく中で、私は自分の将来について明確な答えを持てずにいました。当時、私はスポーツトレーナーの仕事に興味をもっていましたが、収入面を調べるとごくわずかなトレーナーしか活躍することができないと知ってしまい、どうすればいいかはっきりしていなかったのです。

漠然と大学進学か就職を考えてはいたものの、具体的に何を学びたいのかが決まらず、焦る気持ちばかりが募っていきました。そんな時、私の悩みを察した母が「一度、私の仕事について話してみようか？」と声をかけてくれました。

母親が教えてくれた「介護の仕事」

私の母は、現役の介護福祉士です。しかし、家ではあまり仕事の話をすることはなく、私は母の職業について詳しく知りませんでした。私にとって介護の仕事は、「お年寄りのお世話をする大変な仕事」という漠然としたイメージしかありませんでした。

そんな私に、母は「確かに大変なことも多いけれど、それ以上にやりがいがある仕事なんだよ」と教えてくれました。

母が働く介護施設では、利用者さんが安心して過ごせるように、食事や入浴、排せつの介助をするだけでなく、会話を楽しんだり、一人ひとりの気持ちに寄り添ったケアを行ったりすることが大切なのだと話してくれました。

「利用者さんが『ありがとう』って言ってくれたり、笑顔を見せてくれたりする瞬間が、一番嬉しいのよ」

母の言葉には、ただの仕事以上の想いが込められていました。それまで私は、「仕事は生活のためにするもの」としか考えていませんでしたが、母の話を聞くうちに「誰かの役に立つことを仕事にする」という考え方が少しずつ芽生えていきました。

介護を知らない私が、興味を持った瞬間

母の話を聞くうちに、介護の仕事が単に「大変な労働」ではなく、人と人との関わりを大切にする仕事なのだと感じるようになりました。最初はなんとなく話を聞いていただけでしたが、次第に「もっと知りたい」という気持ちが芽生えていきました。

すると母が、「じゃあ、一度職場に来てみる？」と提案してくれました。私は、母の働く介護施設で1日の職業体験をさせてもらうことになったのです。

まとめ

高校生の頃、私は自分の進路に悩んでいました。スポーツトレーナーに興味を持っていたものの、現実的な厳しさを知り、将来の道が定まらず焦るばかりでした。そんな時、母が介護の仕事について話してくれたことで、私は初めて「人の役に立つ仕事」という視点を持つようになりました。

次のコラムでは、母の働く介護施設で1日体験をさせていただいた時の内容を紹介します。