資格取得の最短ルートは?
気になる法改正の影響は?
介護福祉士になるためには、高校を卒業してから養成施設を卒業する、実務経験3年の後に「実務者研修」を受けてから国家試験に合格する、福祉系高校で勉強して国家試験に合格するなどの方法があります。2016年までは養成施設に入れば、2年で卒業と同時に資格がとれましたが、厚生労働省は養成施設卒業でも国家試験を受けることを義務化。
2021年度までの卒業生に関しては、5年以内に介護福祉士の国家試験に合格するか、5年間勤務することで、正式に介護福祉士の資格を得ることができるという経過措置を取っていました。しかし、2020年6月の法案可決でこの経過措置がさらに5年間延長されることが決定。2026年度までの卒業生はこの経過措置を受けることができるようになりました。(2020年11月現在)
受験資格、必要な実務経験とは?
実務経験ルート
・実務者研修の修了
・実務経験3年以上
・学歴は関係なし
※社会人や主婦の方におすすめのルートです。
福祉系高校ルート
・福祉系高校で52単位取得
養成施設ルート
・一般養成施設など(2年以上)
・福祉系大学(1年以上)
※以前は国家試験を受けなくても資格取得できましたが、今後は受験する必要があるので注意しましょう。
介護福祉士の仕事内容は?
介護福祉士の資格をとるメリット
介護の現場では、介護福祉士もそうでない介護スタッフも、同じように介護の仕事を行っていることが多いです。その中でも、介護福祉士の資格を持っているということは、介護に対する専門性が高いと見なされます。実際、資格試験の勉強では専門的な知識を学ぶことになりますので、介護福祉士は、介護に対する専門的な知識や技術を備えていることになります。
事業主のメリットとしては、介護福祉士がある一定の割合以上その事業所にいることにより介護報酬が多くなるということがあります。それも、事業主が無資格者よりも介護福祉士の資格所持者を雇いたいと考える理由です。介護福祉士の資格を持つことが、介護業界での就職・転職の際に有利だという理由はそのあたりにあるのです。また、介護福祉士にとっても資格手当など報酬が高くなることが多いので、そこもメリットになります。
サービス提供責任者などリーダー的な存在を目指している方にとっても、資格取得は必須です。将来更にキャリアアップしたい場合には、5年以上実務経験を経ればケアマネジャーの受験資格も得られます。
介護とは
介護福祉士が行う「介護」とはどういうことを指すのでしょうか。介護とは、高齢であったり身体が不自由であったりする人のお世話をする仕事というイメージが強いでしょう。しかし、介護の本質はそこではありません。介護には、介護される人が「その人らしく自立した生き方ができるように支援する」という視点がとても大事なのです。そこでどういう支援方法があるのかというところに介護福祉士が持つ専門的な技術や知識が生きてきます。
支援方法には、実際に食事・排泄・入浴などの「身体援助」や家事援助などを行う他、介護される人の家族に助言・指導を行うということも入るかもしれませんし、必要な福祉サービスがどこにあるのか調べて紹介するということもあるかもしれません。また、「今ある能力を大事にし、できることを増やしていく」という視点も介護には欠かせません。このように、介護の業務とは、後ろ向きに行うものではなく、基本的には未来に向かって進んでいく業務なのです。
介護福祉士のやりがい
介護される人にとって何が必要か考え実行する、そのことによって介護される人の状況が少しでも改善されることに介護福祉士はやりがいを感じるでしょう。介護される人やご家族から「ありがとう」という言葉に元気をもらえるという介護福祉士もいます。
介護の仕事は、人のためにダイレクトに役に立てるという仕事でもあり、介護される人の立場になって介護することの難しさを乗り越え、自分なりにいい介護ができた時は達成感があります。介護される人は今までの人生経験も価値観も一人ひとり違うので、その人に合った寄り添うようなケアが必要な時もあるでしょう。その中で、いかに介護福祉士としての知識や技術を生かせるか、その視点がやりがいにつながります。
いろいろなケースに毎日出会うため、日々学ぶことが必要です。そういう意味では、自分の知識や技術を深めていくことができることにもやりがいを感じるでしょう。
介護福祉士の将来性は?
介護される人の人数が増えている現在、介護福祉士の役割はますます大事になってきています。介護の質もとりだたされている昨今ですので、この国家資格を持っていることは、介護業界でキャリアを積む上でとても重要なことです。 介護という仕事には、介護される人がなるべく自立的な生活を営めるようサポートするという視点が欠かせません。そのためには、介護に対して専門的な知識を備えている人材の役割、つまり介護福祉士の役割は非常に大きいと言えます。この資格をとった後に5年の実務経験を経れば、ケアマネジャーの受験資格が得られます。キャリアアップのために、更に上を目指していけるのも介護福祉士の特徴だと言えるでしょう。
活躍の場
施設系の現場
介護福祉士の資格を生かせる仕事場として、介護度が高い人が終の棲家として入所する「特別養護老人ホーム」や在宅復帰を目的として入所する「介護老人保健施設」、それに有料老人ホームなど、施設系の現場がまずあげられます。こちらは、訪問系の現場と違い、いっぺんに複数の入居者の介護を行うことが常です。体力に自信がある方はこちらで経験を積むのもおすすめです。
また、グループホームといって、認知症の人たちに安心して穏やかな生活を送ってもらうために家族的なケアを行っている施設もあります。認知症ケアに興味がある人にとって、認知症の人としっかり向き合えるこの職場はやりがいを感じることができるでしょう。施設系の現場では、医療スタッフやケアマネジャーとの連携も大事な仕事の一つです。
訪問系の現場
介護される人の家に直接訪問して介護を行うのが、訪問介護サービスです。訪問介護の事業所に所属することが必要となります。こちらは、施設に入るのではなく在宅で介護を受けたいという人のほか、施設に入りたいけど空きがないなどの事情を抱えた人も多くいます。入浴・排泄・食事などの身体援助に加え、洗濯・掃除等の家事援助、それに在宅介護に関する相談を受け助言するという業務もあります。周りに一緒に仕事ができるスタッフがいない分、一対一で信頼関係を築いていくという力が求められます。
熟練した介護技術やコミュニケーション能力が必要ですが、その分やりがいも大きい現場だと言えます。こちらもケアマネジャーや看護師、医師などとの連携が必要です。
通所系の現場
施設系、訪問系の他に、通所系の現場として「デイサービスセンター」があります。これは、高齢者が通うことによって様々なサービスを受けられる事業所のことです。だいたいは送迎付きで定期的に通所することができ、入浴・食事などのサービスの他、レクリエーションやイベントにも参加が可能な事業所です。
ここでは、介護福祉士は食事や入浴などの身体援助の他、レクリエーションを通して高齢者に機能訓練を兼ねた楽しみを提供するという業務もあります。レクリエーションには、歌や体操、手仕事など数々の種類があり、その準備や運営も介護の仕事の一つです。そうした業務が好きな人にとっては、やりがいのある職場になるでしょう。
向いている人とは
介護という仕事に必要な心がまえとは
介護福祉士の仕事の上でまず必要なのは、人の役にたちたいと思う心です。介護をする上では、介護される人の意志を尊重し、自立したいと思ってもらえることが大事ですが、そのためには相手を尊重する心が必要です。また、確かに体力は必要ですが、なるべく体力に頼らなくても介護ができるような技術はたくさんあります。
体力は、あればあるに越したことはないですが、年齢を重ねているから介護ができないということはありません。むしろ、介護のプロでありたい、介護される人の状況を改善したいという心が大事です。ただし、夜勤なども多く、対応が難しい場面にも多く遭遇する仕事ですから、肉体的にも精神的にもタフである人はこの仕事に向いています。また、介護される人は心に複雑なものを抱えていることが多いです。介護を前向きにとらえる元気さがあればなおいいでしょう。介護福祉士の仕事は、介護を通して人に元気を与えられる仕事です。
いろいろな人とのコミュニケーション力
介護福祉士が行う「介護」に重要なことは、人が好きであるということです。人が好きであれば、人の話をよく聞くことができるばかりでなく、介護される人が何を必要としているのか、その人の立場にたっていろんなことに気づくことができるでしょう。
介護の仕事はダイレクトに人に関わる仕事です。コミュニケーション能力は必須だと言えるでしょう。介護される人は、高齢者であれば耳が遠かったり、認知症を患っていたり、コミュニケーションをとるのに一工夫が必要な方が多いのです。そのコミュニケーションでつまずいていては、介護をするのはとても難しいでしょう。
ご家族と意思疎通をはかることも介護の仕事には必要です。また、医療や福祉、保健分野の専門職の人と連携をとるのも介護福祉士には重要な仕事です。これらの人々と円滑にコミュニケーションをとれる人が介護福祉士には向いています。人とコミュニケーションをとるのに抵抗がないということは、介護福祉士にとって大きな武器となります。
日々学ぶ意欲
日々いろんなケースを扱う介護の仕事は、奥が深く、勉強をしつづける意欲があればやりがいもそれだけ大きくなります。介護福祉士の仕事は、ただ介護が必要な人のお世話をするだけではありません。その方らしく生活していただくにはという視点を持って行動することが必要です。そのためには、介護される人の立場に立つこと、介護の技術や知識を日々勉強していくということが大事です。
介護される人は、一人ひとり身体の状態も異なれば、環境も異なります。臨機応変に対処する力もいるでしょう。先輩から、また数々の研修から、それに日々のケースから、どんなことでも学びに変えるという気持ちがあれば、仕事は楽しいものとなるでしょう。医療・福祉・保健分野との協力体制が必要な介護の仕事は、それらの分野への知識・関心も必要です。介護される人の状態をよく見極め、危険を察知できるような能力も大事でしょう。
このように、介護の仕事を通して身につくことは多いと言えます。
働きながら介護福祉士資格を取得できる?
働きながら取得できる?
介護福祉士の国家試験に合格した人のうち、9割以上は実務経験を3年以上経ている人です。その数は2015年の試験においておよそ9万人です。毎年かなりの数の社会人が介護福祉士の試験に合格していることが推測できます。もちろん、実務経験はあるけれども今は働いていない、という人も中にはいると思われますが、介護福祉士試験は基本的には働きながら資格を取得するのがメジャーな資格なのです。
そこで、実務経験者が受けなくてはならない実務者研修や受験対策講座は、働きながら受講できるよう工夫されています。例えば、実務者研修の場合、7日程度の通学以外は自宅学習で受講できるようになっているものが多くなっています。受験対策講座の場合でも、いろいろな曜日に開催されていることが多いので、社会人でも受講しやすいでしょう。仕事などの都合で講義に出られなかった場合、他の曜日に振り替えて受講できるシステムがある講座も存在します。振り替え制度なども加味して講座を選ぶことが必要です。
おすすめの勉強方法は?
介護福祉士の試験は、五肢択一形式、つまり5つの答えの中から正しいものを1つ選ぶという出題形式です。マークシート方式で試験は行われます。問題に慣れるためにも、問題集を解くことを手始めに勉強をはじめるのも一つの方法です。講座では、模擬試験がたくさんついているものもありますので、問題に慣れるという意味でも利用するのがおすすめです。一問にかけられる時間は1分ぐらいだと考えて、過去問題も含めて解いていきましょう。
間違ったところの正しい答えを確認するだけではなく、解説まで読み込んで自分のものにすることが勉強のコツです。また、介護福祉士の試験勉強は、実務に即したものも多いので、普段の業務にも関連づけられるのも特徴の一つです。実際の業務に当てはめて覚えるなどの工夫もできます。そういう意味では、実務経験がある人にとって受験勉強がしやすいのが介護福祉士の試験であると言えるでしょう。
社会人が勉強する時のコツ
社会人で夜勤もあれば、受験勉強の時間を捻出するには工夫が必要です。スケジュールをおおまかにでも立ててみると、一日あたりどれくらい勉強すればよいかという目安が分かります。一日あたりの勉強量が分かったら、どこで時間を捻出するのかを考えましょう。
人によっては、仕事に行く前かもしれませんし、仕事から帰ってからかもしれません。休日や休み時間などを利用するという方法もあるでしょう。
30分でも時間ができれば勉強するのがおすすめです。なぜなら、30分の勉強を一日3回すれば、1時間半の勉強時間を獲得したことになるからです。また、周りに働きながら介護福祉士の試験に合格したという人がいれば、勉強方法や受けた講座の内容などを聞くことも合格のためには有効な方法でしょう。一緒に勉強できる仲間がいる場合、更に勉強はしやすくなるはずです。可能であれば、勉強の場所を図書館に変えてみるなどの方法も有効な場合があります。
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試験データ
項目 | 内容 |
---|---|
資格・試験名 | 介護福祉士 |
試験日 |
【[第37回]令和6年度試験】 |
試験区分 | 国家資格 |
主催団体 | 厚生労働省 |
受験資格 | (1)介護福祉士養成施設(2年以上)を平成29年4月以降に卒業(修了)した方 (2)介護福祉士養成施設(1年以上)を平成29年4月以降に卒業(修了)した方 (3)3年以上(従業期間3年以上、従事日数540日以上)介護等の業務に従事した方で、実務者研修を修了した方 (4)3年以上(従業期間3年以上、従事日数540日以上)介護等の業務に従事した方で、介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修(第1号研修または第2号研修)を修了した方 (5)福祉系高校を平成21年度以降に入学して、新カリキュラムを履修した卒業した方 (6)特例高校(高校:平成21~25、28~30年度・専攻科:平成21~25、28~31年度に入学)して、卒業した翌日後に9か月以上(従業期間9か月以上、従事日数135日以上)介護等の業務に従事した方 (7)福祉系高校を平成20年度以前に入学して、旧カリキュラムを履修して卒業した方 (8)経済連携協定(EPA)であって、3年以上(従業期間3年以上、従事日数540日以上)介護等の業務に従事した方 |
合格率 | 60~70%程度 |
出題内容・形式 | ▽筆記試験 [領域:人間と社会] ・人間の尊厳と自立 ・人間関係とコミュニケーション ・社会の理解 [領域:介護] ・介護の基本 ・コミュニケーション技術 ・生活支援技術 ・介護過程 [領域:こころとからだのしくみ] ・発達と老化の理解 ・認知症の理解 ・障害の理解 ・こころとからだのしくみ [領域:医療的ケア] ・医療的ケア [総合問題] ・総合問題 ▽実技試験 介護等に関する専門技能 |
検定料 | 18,380円 |
問い合わせ先 |
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター http://www.sssc.or.jp/ 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1丁目5番6号 SEMPOS(センポス)ビル 国家試験情報専用電話案内:03-3486-7521 |