介護職員初任者研修を受講できるハローワークの「求職者支援制度」とはそもそもどのようなもの?
雇用保険を受給できない方々を対象とした早期就業を支援する国の制度!
ハローワークには求職者支援制度というものがあります。
これは、パートや短期派遣などの非正規雇用で働いていて雇用保険の受給資格がない方、または雇用保険受給中に再就職ができないまま受給期間が終了してしまった方など、雇用保険が受給できない求職者などを対象とした制度です。
この求職者支援制度は、求職者が職業訓練を受けることによって働くためにスキルアップし、早期の就職を目指すために設けられています。
対象者
応募対象者は下記のとおりです。
支援対象のハローワークに求職の申し込みをしていて、労働の意思があることが条件となります。
- 雇用保険の受給終了者
- 受給資格要件を満たさなかった者
- 雇用保険の適用がなかった者
- 学卒未就職者
- 自営廃業者等
※現在自営業で収入がある方でも応募は可能で、講座の受講もできます。
ただし、通所手当を含む給付金は受け取れません。
ハローワーク求職者支援制度の申込手順を3ステップで紹介
申込手順は、以下の3ステップです。
①ハローワークで相談する。
ハローワークで職業相談を受け、求職者支援制度についてよく聞くことが必要です。
たとえ応募対象者であっても、再就職のための訓練が必要ではないとハローワークに判断された場合は、申し込みができない場合があります。
また、それぞれのコースには締め切りがあります。
早めに相談をすることが大切です。
②就職を実現するために、自分にとって適切な訓練コースを選択する。
職業訓練には、基礎コースと実践コースがあります。
ハローワークで職業相談をし、自分が就職するために必要なコースを選択し、受講申込書などの必要書類を受け取ります。
③訓練コースの申し込みをする。
申し込みはすべてハローワークでおこないます。
必要な書類を揃えて、受講申し込みをおこない、ハローワーク受付印を押印された受講申込書を実施機関に提出するのが一般的です。
直接、実施機関への連絡も可能です。
※訓練コースには選考があり、すべての人が受けられるわけではない場合もあります。
介護職員初任者研修をハローワークの「求職者支援制度」で受講するメリットは?
【メリット1】介護職員初任者研修の講座が無料で受講できる!
ここまでお話しした求職者支援制度の職業訓練のなかに、介護職員初任者研修が含まれます。
介護職員初任者研修をこの求職者支援制度で受講する一番のメリットは、何といっても無料で受講できることです。
自己負担が小さい
通常、スクールなどで介護職員初任者研修を受講しようとすると、スクールにもよりますが大体10万円前後の受講料がかかります。
しかし、求職者支援制度を利用した場合は、テキストなどの自己負担分を除いた受講料は無料となります。
この自己負担分は施設によっても異なりますが、1~3万円程度で受講できるため、同じ講座を受講する場合でも負担が小さくて済みます。
受給条件
また、要件を満たしている場合は、無料で講座を受けられるだけでなく、職業訓練受講給付金(月に10万円の受講手当と通所手当)を貰える可能性があります。
その要件は下記のとおりです。
要件 |
---|
・本人収入が月8万円以下であること |
・世帯全体の収入が月25万円以下(年間300万円以下)であること。 |
・世帯全体の金融資産が300万円以下であること。 |
・現在住んでいるところ以外に、土地・建物を所有していないこと。 |
・すべての訓練実施日に出席すること。やむを得ない理由がある場合は8割以上の出席が必要です。 |
・同世帯のなかに、同時にこの給付金を受給して訓練を受けている者がいないこと。 |
・過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けたことがないこと。 |
・訓練期間中から訓練終了後まで、定期的にハローワークに来所し、職業相談を受けること。 |
・すでにこの給付金を受給したことがある場合は、前回の受給から6年以上経過していること。 |
「失業保険もなく、すぐに働かないと生活に困る」、「スクールに通うお金がないから介護職員初任者研修を受けられない」と諦めるのではなく、自身が求職者支援制度を受けられるかどうかをまず確認してみましょう。
給付金を貰いながら生活をし、テキスト代などの少ない自己負担で学べるチャンスがあるかもしれません。
【メリット2】介護事業所などへの就職斡旋を受けることも期待できる!
求職者支援制度を活用し、職業訓練として介護職員初任者研修を受講することにはもう1つメリットがあります。
それは、介護事業所などへの就職斡旋を受けられることです。
もともと求職者支援制度は就職したい方のための制度なので、介護職員初任者研修などの職業訓練を受講すれば、ハローワークで受講したコースや取得した資格に合う就職斡旋などのサポートを受けやすくなります。
就職先探しがスムーズに
受講しながら、またはすべて受講したあとに、自身で求人誌やインターネットを利用し、コツコツと就職先を探すのも1つ方法ですが、求職者支援制度を活用すれば、職業訓練を受けている間も就職斡旋などをはじめとするハローワークの就職サポートを受けることができるのです。
一から自身で求人情報をチェックし、知らない事業所の情報を集めて悩む手間が省け、自身に適した職場を探す手助けがあるのは、特に介護業界に初めて挑戦する方にとって心強く、大きなメリットといえます。
キャリアカウンセラーによるサポート
なお、この就職サポートではキャリアカウンセラーに、履歴書や職務経歴書の添削、求人票の見方などの相談やアドバイスを受けられることもあります。
この制度をうまく活用して、早期就職を目指しましょう。
介護職員初任者研修をハローワークの「求職者支援制度」で受講するデメリットは?
【デメリット1】倍率が高く、選考に落ちる可能性もあり!誰しもが受講できるわけではない!
ここまでハローワークの求職者支援制度で介護職員初任者研修を受講するメリットをお話ししてきました。
しかし、残念ながらデメリットもあります。
定員制のため選考がある
実は、この求職者支援制度での介護職員初任者研修は、希望者全員が受けられるわけではありません。
ほかの職業訓練と同じくコースごとの定員があるため、受講するためには事前に選考を受ける必要があるのです。
介護職員初任者研修の事前選考では、筆記試験と面接試験がおこなわれます。
筆記試験
筆記試験では、社会問題や時事問題などの一般常識問題、中学校卒業程度の学力問題、介護ヘルパーの資格を取りたい理由や資格取得後の目的、就職に対しての熱意などが題材になる作文などが出題内容となります。
面接試験
面接試験では、その講座を受講することで就職できる可能性が高まるか、受講希望者本人が真剣に介護を仕事として考えているかなどをチェックされます。
倍率も高いため、単純に興味本位だとか、好きだから程度の理由では面接で落とされて審査に通らないこともあります。
就職が遅くなる可能性も
一度では受からない事前審査でも、何度か挑戦すれば通る可能性は高くなりますが、受かるかどうかわからない試験に何度も行くことが精神的に辛いという方もいるようです。
また、複数回の挑戦になるとどうしても時間がかかり、就職が遅くなる可能性もあります。
【デメリット2】スクールと比べて資格取得に時間がかかる
デメリットはもう1つあります。
求職者支援制度で介護職員初任者研修を受ければ費用は最低限に抑えられ、要件を満たすことで給付金も貰えるのですが、自分でお金を出してスクールに通うよりも長く時間がかかってしまうのです。
3ヶ月以上の時間がかかる
通常、一般的なスクールで勉強する際には、介護職員初任者研修に必要な期間は約1ヶ月~1ヶ月半程度ですが、求職者支援制度の職業訓練の場合は3ヶ月ほどの訓練期間が必要です。
さらに、ハローワークの介護職員初任者研修は常時開催ではないため、タイミングによっては開校日までの日数が開いてしまうこともあります。
申し込みや選考で事前に一定の日数が必要となり、さらに開講日までの期間などを考えると3ヶ月以上の期間が必要になるでしょう。
同じ研修を受けるにもかかわらず、長い時間がかかってしまいます。
拘束時間が長い
また、職業訓練の場合は平日の朝9時頃~夕方5時頃までの講習があるので、必然的にその3ヶ月以上もの間は1日のうちの拘束される時間も長くなります。
体調不良や就職面接など、やむを得ない理由がある場合を除き、すべての講義に出席することも義務付けられていますので、必然的にこの期間の平日のほとんどの予定は職業訓練で埋められてしまうことになります。
スクール受講をおすすめの方
少しでも早く就職したい、介護職員初任者研修を受講し終わるまでに時間をかけたくないという方は、求職者支援制度の介護職員初任者研修ではなく、一般のスクールを自身で探した方がよいでしょう。
【ハローワークの初任者研修に応募する人向け】志望動機の作り方・例文
志望動機を作るコツ
ここからは、ハローワークへ提出する志望動機について詳しく解説します。
志望動機を作る際に勘違いされやすいのですが、すでに習得している知識などは書く必要はありません。
初任者研修は介護未経験の方を対象とした入門資格ですので、一番重視されるのは「研修を終えたあとに就業してくれるのかどうか」という点です。
1資格取得後に目指している職業、資格を得ることでどう活かせるのか
ただ漠然と資格を取得したいのであれば、ハローワークを利用する必要はありません。
仕事を探している人、特に介護職員初任者研修に関連する職業を考えている方が理想的でしょう。
ハローワークは多くの方が利用しており、求職者支援制度は非常に人気が高まっています。
求職を考えておらず資格だけ欲しがっている方と、介護業界への就職を真剣に考えている方であれば、後者の方が就業してくれる可能性は高く感じてもらえるはずです。
そのため、資格を得て介護の仕事にどのように活かしたいのかを明記することが大切です。
2介護の仕事で働きたい意思をアピールする
志望動機のなかで最も重要な点です。
何をきっかけに介護業界へ興味を抱いたのか、仕事のどこを魅力的に感じているのか。
自身の体験談をおりまぜて独自の志望動機を作り上げましょう。
3志望動機の書き方、入れた方がよい項目
おおまかな内容をとらえたところで、次は文章の構成です。
志望動機の記入欄はスペースが限られており、わかりやすく簡潔にまとめなければいけません。
最初に結論を書く
そこで重要なのが、最初に結論を書き、そのあとに根拠を述べていく書き方です。
何を伝えたいのかを最初にもってくることで、より自分の思いが伝わりやすくなります。
入れた方がよい項目
そのうえで、「求職者支援制度を希望した理由」「簡単な就業状況」「就職活動を意欲的におこなう意思」は必ず入れておくことを忘れないようにしましょう。
志望動機の例文
ポイントごとに焦点をあわせた例文を見ていきましょう。
求職者支援制度を希望した理由
「今回応募したのは、資格の取得と就職の両方をかなえたいと考えたからです。
半年前から介護業界を中心に就職活動を精力的におこないましたが、採用には至りませんでした。
その理由として、私が未経験であることが大きかったように思います。
資格の取得と介護のスキルを身につけることで、就職活動の大きな助けになるのではと考えました。
講座受講中も精力的に就職活動をおこない、必ず介護職員の夢をかなえたいと思います。」
介護業界に興味をもった理由
「私の母が介護士をしており、子どものころから興味をもっていました。
非常に作業は大変で責任が重い仕事だと聞いております。
しかし、それ以上にやりがいを感じられる仕事で、利用者の笑顔と感謝は大きな達成感を感じられるとも聞きました。
講座を受講することで、より多くの利用者の助けになれたらと考えています。」
あくまでも例文ですので、志望動機には自身の体験談や思いを簡潔かつ、具体的に記載しましょう。
志望動機のよくあるNG例
逆に、志望動機に望ましくない例はどのようなものなのか見ていきましょう。
例文1
▼介護職員初任者研修を選んだ理由がはっきりしない
「求職中で時間があるので資格取得に励んでいます。
最近は漢字検定、英語検定や語学系の資格を取得しました。
スキルの幅を広げるために介護職員初任者研修も取得してみたいです。」
▼望ましくない理由
資格取得の熱意は認められるかもしれませんが、ハローワークの就職支援制度を利用する必要性がわからない文面です。
資格取得が就職につながるのかわからないため、合格にならない可能性があります。
例文2
▼介護業界への就職意欲が伝わらない
「家族の介護が必要になりました。
まったくの未経験分野なので、入門資格である介護職員初任者研修を取得してスキルを一通り身につけたいです。」
▼望ましくない理由
介護職員初任者研修への興味は伝わりますが、就職につながる言葉がありません。
あくまでハローワークの就職支援だということを覚えておきましょう。
介護業界への就業を考えている応募者がいた場合は、優先されてしまう可能性が高いです。
ハローワークで受講するか考えている人の質問
「現場ですぐに働くか初任者を受講するべきか」「学歴関係なしに初任者を受講できるのか」など、Yahoo!知恵袋で質問されています。知恵袋からいくつか質問を抜粋して、介護福祉士を所有しているライターが回答いたします。
質問1 「未経験で働くか、初任者研修を受講するべきか」
介護職の方に質問です。未経験から介護現場で働きながら初任者研修を学ぶか、ハローワークで無料の初任者研修を受けてから現場に行くかで悩んでいます。皆さまの経験などをお聞かせください。
引用 Yahoo!知恵袋
回答
介護福祉士を取得している私からすると、まず初任者研修を取得してから現場に就くことをおすすめします。なぜなら、ハローワークを利用して初任者研修の受講先を探す場合、授業の振替がしにくい点や、取得まで3ヶ月程度かかるという融通が利きにくい側面があるからです。
ハローワークで探すよりも、就職支援も提供しているスクールに通う方が良いでしょう。例えば、ベネッセスタイルケアの場合、受講終了後3か月以内にベネッセスタイルケアの介護職に内定することで、受講料を全額キャッシュバックされる制度があるからです。
初任者研修の費用を実質0円で取得できるうえに、入社までのサポートもしてくれるため確認してみることをおすすめします。
質問2 「高卒でも介護士として働けるのか」
高卒18歳です。今から介護士になるにはハローワークの職業訓練で初任者研修を取ってから働くか、それとも未経験で雇ってくれるところに応募するかどっちがいいですか?
引用 Yahoo!知恵袋
回答
高卒で介護士を目指す場合、ハローワークの職業訓練で初任者研修を受けるよりも、ベネッセスタイルケアやニチイのような企業が提供するスクールでの取得をおすすめします。なぜなら、企業が提供しているスクールだと受講料のキャッシュバックを実施していることがあるからです。
ハローワークの場合、初任者研修を修了するまで最短3ヶ月かかる点やテキスト代が自己負担、受講の振替ができないといったやや不便な点があります。
キャッシュバックを利用するには、スクールの就職サポートを受け、採用されてから3ヶ月勤務するといった条件があります。実質0円で初任者研修を取得できて、未経験から就職できることも考慮すると、ハローワークよりも企業が提供しているスクールに応募した方が良いでしょう。
質問3 「無職は介護職関係で正社員になれるのか」
23歳男で高卒職歴なしのニートです。 就職活動を始めようと仕事を探してるうちに、介護なら正社員になりやすいと聞き、介護職員初任者研修の資格を取りたいです 仮に取った場合正社員になれると思いますか? 不安で寝れません…。
引用 Yahoo!知恵袋
回答
介護福祉士として9年間勤務した経験から申し上げると、初任者研修を取得するだけで、正社員としての雇用も十分に望めます。しかし、自分で就職活動をするよりも、就職支援を提供しているスクールで初任者研修の取得をおすすめします。なぜなら、企業が提供しているスクールでは、自分が実際に働く現場の見学や相談といった就職サポートをおこなっているところもあるからです。
また、キャッシュバック制度を持つスクールもあり、資格取得の費用を抑えつつ、正社員としての就職も可能です。
ハローワークにあるその他の支援制度
教育訓練給付金制度について紹介
ハローワークには、上記で紹介した「求職者支援制度・職業訓練制度」だけではなく、ほかにも支援制度が設けられています。
そのなかの「教育訓練給付金制度」について紹介します。
厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際、一定の条件を満たすことで教育訓練経費の一部が支給される制度です。
「一般教育訓練給付」、「専門実践教育訓練給付」、特定教育訓練給付」、「自立支援教育訓練給付」など、複数の分類に分かれています。
注意点として、資格の種類ではなくスクールやハローワークの講座別に指定されていますので、事前に確認しておきましょう。
受給条件
(1)雇用保険の加入期間が3年以上であること。
ただし、初回の利用に限り1年以上でも可能。
(2)受講開始日の時点で雇用保険の被保険者ではない方で、被保険者資格を喪失した日より受講開始日までが1年以内、かつ支給要件期間が3年以上あること。
以上の条件は一般教育訓練給付の場合で、専門実践教育訓練給付になると若干変わります。
初回利用に限り、雇用保険の加入期間が2年以上でも可能になります。
また、該当講座を複数受講する際、同時に支給申請はできませんので注意しましょう。
給付額
一般教育訓練給付の場合は、教育訓練経費の20%相当額が給付されます。
ただし、相当額が10万円を超える場合は10万円が支給上限となり、4,000円未満の場合は支給されません。
専門実践教育訓練給付の場合は、教育訓練経費の50%相当額が支給されます。
ただし、1年間の相当額が40万円を超える場合も支給上限は40万円です。
訓練期間は最大で3年間までとなり、最大上限は120万円とされています。
また、一定の条件を満たすことで費用の20%が追加で支給されるケースもあります。
※例として、訓練修了後1年以内に目標に設定された資格の取得など。
給付申請の手順
一般教育訓練給付を申請するには、受講修了後に本人が現住所を管轄するハローワークにて手続きが必要になります。
必要な書類を持参・提出することで申請作業は完了です。
申請には期限が設けられているため、しっかりと確認し、忘れずに手続きを済ませましょう。
例えば、一般教育訓練給付の場合、受講修了後1ヶ月以内(起算日は修了日の翌日)に申請手続きが必要とされています。
制度により、受講前にも手続きが必要な場合があるようですので、事前に確認しましょう。
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