(1)介護福祉士とヘルパーの資格の違い
国家資格か認定資格かの違い
介護福祉士とヘルパーの最大の違いは資格にあります。
介護福祉士は国家資格、ヘルパーは認定資格
介護福祉士は国家試験に合格することで仕事に就くことができる職業です。
ヘルパーは特定の資格を必要としておらず、事業所に雇用してもらうことで誰でも名乗ることが可能になります。
ヘルパーにも「介護職員初任者研修」、「実務者研修」など存在しますが、認定資格のため必須ではありません。
利用者の自宅で介護を行う訪問介護員(ホームヘルパー)の仕事を行う際には、「介護職員初任者研修」「実務者研修」に参加し、認定を受ける必要があります。
介護現場従事者の目標である「介護福祉士」
介護福祉士は名称独占の国家資格で、介護現場で働く人たちの多くが目標としているものです。
介護福祉士の受験には実務経験3年以上が求められる一方で、介護職員初任者研修は誰でも受験できるという違いもあります。
現在は廃止されていますが平成25年3月末以前は、ヘルパー資格として「ホームヘルパー1級・2級」という養成研修が行われていました。
これらの資格を取得することで、ヘルパーに関する業務は全て担当できるようになります。
ヘルパーよりも介護福祉士の方が難易度は高い
介護福祉士は実務経験や養成学校の卒業が受験資格に課せられていることもあり、資格取得の面から見るとヘルパーよりも介護福祉士の方が難易度が高いと言えるかもしれません。
国家資格ということもあり、現場での立場も介護福祉士の方が上になるケースが多いようです。
(2)介護福祉士とヘルパーの仕事内容の違い
利用者の介護を専門とする二つの職業ですが、仕事の内容では細かい部分で違いがあります。
介護福祉士:介護の現場全体の責任を担う存在
介護福祉士ですが、主な仕事内容は直接身体を支える「身体介護」、身の回りの家事全般を行う「生活援助」、利用者の家族に対するアドバイスや相談サポートなどがあげられます。
さらに、実務経験を積んだ介護福祉士は、ケアワーカーと呼ばれる現場の責任者を務める場合もあるでしょう。
利用者の方への介護だけに留まらず、他職員の管理から指導まで行い、施設全体の運営を担当することになります。
最終的には介護の現場における指導者、責任を持つ立場になるのが介護福祉士の特徴です。
ヘルパー:介護福祉士から指示を受ける立場
ホームヘルパーの仕事は介護福祉士と同様に、介護業の基本となる「身体介護」、「生活援助」などです。
違いとしては、ヘルパーの主な勤務先が訪問介護事業所(ヘルパーステーション)という点です。
仕事を行う場所が特定の施設ではなく、利用者の自宅、高齢者専用のアパート、有料老人ホームなど多岐に渡ります。
また、現場では介護福祉士から指示を受けて仕事を行うことが多く、実務の担当が仕事の大多数を担います。
介護福祉士の方が勤務先が幅広い
介護福祉士は勤務先が特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、グループホーム、介護施設、介護療養型医療施設、介護学校、医療機関など幅広く存在します。
ヘルパーステーションが主な勤務先となるヘルパーと異なり、選択肢においても違いがあります。
(3)介護福祉士とヘルパーの待遇の違い
介護福祉士とヘルパーでは待遇でも差があります。
介護福祉士は正社員の求人が多い
介護福祉士は正社員募集が多く見られます。
事業所や介護施設による直接雇用が基本で、採用率も高いのが特徴です。
手当なども用意されている
また、介護福祉士は国家資格という点も考慮され、休日手当、夜勤手当、資格取得手当など、さまざまなサポートも用意されているようです。
各種手当を含めると手取りで20万円を超えることができるかもしれません。
ホームヘルパーはアルバイトやパートなどの求人が多い
ホームヘルパーは国家資格が必要とされず、無資格でも就職自体は可能という特徴があります。
「介護職員初任者研修」「実務者研修」の2つを取得することで仕事の幅は広がりますが、基本的に就職先の選択肢は介護福祉士より少ないようです。
求人を見ると、ホームヘルパーのほとんどはアルバイトやパート社員といった短時間雇用での募集になっています。
多くの施設が時給制
非正規での募集が基本となるため、交通費や資格手当がつかないケースが多いようです。
正社員として雇用される場合は月給15万円から20万円程度となるようです。
関連資格の取得状況や夜勤回数により給料は変わりますが、正規雇用であれば安定した給料を望めるでしょう。
仕事をする上で立場が異なる
実際の仕事現場では、介護福祉士とヘルパーが一緒になることもあります。
その場合、介護福祉士の指示に従ってヘルパーは実務をこなさなければいけませんので、仕事上の立場も異なる点も覚えておきましょう。
まとめ
介護福祉士とホームヘルパーの違いを解説しました。
必要とされる資格が国家資格である介護福祉士と、認定資格だけで済むヘルパーは仕事内容から待遇まで違いがあります。
介護福祉士の国家資格は受験に条件が課せられているなど難易度が高いものの、取得すれば正社員として働くことが期待できます。
ホームヘルパーは基本的に非正規雇用が多いものの、正社員として働くことができれば安定した収入が得られるでしょう。
ヘルパーから介護福祉士を目指すことも多い
介護現場で働くホームヘルパーの多くは、ステップアップとして介護福祉士の資格取得を目指すことが多いようです。
介護福祉士は管理職を目指せるだけでなく、更なるキャリアアップも可能という点も大きな違いと言われています。