精神保健福祉士試験の難易度と合格率は?
精神保健福祉士の合格率は62~65%ほどで推移!
精神保健福祉士試験を受けようとお考えの方は、試験の難しさや合格率は気になることでしょう。
合格率については、ここ数年は62~71%ほどで推移しています。
ちなみに直近でおこなわれた2024年度(令和6年度)の精神保健福祉士試験では、合格率70.4%でした。昨年と比べると下がりましたが、それでもここ数年ではも高い合格率となっています。
以下で、過去に実施された試験データをまとめてみました。
試験実施日 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2024年2月3日(土)・4日(日) | 6,978 人 | 4,911 人 | 70.4 % |
2023年2月4日(土)・5日(日) | 7,024 人 | 4,996 人 | 71.1 % |
2022年2月5日(土)・6日(日) | 6,502 人 | 4,267 人 | 65.6 % |
2021年2月6日(土)・7日(日) | 6,165 人 | 3,955 人 | 64.2 % |
2020年2月1日(土)・2日(日) | 6,633 人 | 4,119 人 | 62.1 % |
2019年2月2日(土)・3日(日) | 6,779 人 | 4,251 人 | 62.7 % |
2018年2月3日(土)・4日(日) | 6,992 人 | 4,399 人 | 62.9 % |
合格内訳
2024年度実施試験の男女別合格者内訳は、女性が69.8%、男性が30.2%となっています。
年齢別でいうと30歳までが4割近くを占めていますが、31歳から50歳の方も合計で41.1%と、決して少なくない人数が合格しています。
保健福祉系大学の卒業者は34.3%、養成施設の卒業者は65.7%と、養成施設を卒業された方の割合が高めとなっています。
免除科目あり
試験の内容は、「精神疾患とその治療」「精神保健の課題と支援」など17科目あり、社会福祉士の資格を持っている方については、免除される科目が11科目あります。
社会福祉士とダブル受験する場合、この免除科目が共通の科目となります。
参考:第25回精神保健福祉士国家試験合格結果を公表します|厚生労働省
精神保健福祉士の合格ライン
精神保健福祉士の合格ラインは、すべての点数に対して60%程度の正答率が必要で、かつ17科目すべてに得点した場合となっています。
2023年度の試験では「総得点163点に対し、得点95点以上の者」でした。
これは、総得点の60%程度を基準として難易度で補正した結果となっています。
【試験科目の一部免除を受けた場合】
社会福祉士の資格を持っていて試験科目の一部免除を受けた受験者の合格ラインは、異なります。
「総得点の60%程度を基準として難易度で補正」という点は同じですが、科目群における必要条件で「5科目群すべてにおいて得点があった者」と違いがあります。
なお、合格基準は「総得点80点に対し、得点 49点以上」でした。
他資格と比べて精神保健福祉士試験は難しいの?
社会福祉士と比較
社会福祉士試験(2024年2月)の合格率は、58.1%でした。
合格率だけで見ると、精神保健福祉士の方が難易度は低いといえます。
ちなみに、受験者数は社会福祉士の方が多く、34,539人となっています。
参考:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター 社会福祉士国家試験「合格発表について」資料
介護福祉士や臨床心理士と比較
その他、介護福祉士試験(2023年1月)の合格率は84.3%、受験者数は79,151人と、社会福祉士や精神保健福祉士に比べて合格率が高く、受験者数も群を抜いて多くなっています。
参考:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター 介護福祉士国家試験「合格発表について」資料
また、臨床心理士の合格率は2022年度試験で64.8%、受験者数は1,810人でした。
参考:公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会「臨床心理士」資格取得者の推移
合格率だけで見ると、介護福祉士や臨床心理士試験の難易度は、精神保健福祉士試験の難易度と似ていますが、受験者がどのような背景を持っているかもそれぞれ違うので、いちがいに難易度が同じとはいえません。
また、合格率は受験者数や合格者数によって変わるため、難易度指標の1つとしてとらえておけばよいでしょう。
精神保健福祉士(PSW)の国家試験の科目は?
精神保健福祉士国家試験の形式は、筆記試験となります。
試験科目は全17科目となり、そのうち1から11番の科目は社会福祉士との共通科目です。
試験科目は以下のとおりです。
(1)人体の構造と機能及び疾病
(2) 心理学理論と心理的支援
(3)社会理論と社会システム
(4)現代社会と福祉
(5)地域福祉の理論と方法
(6)社会保障
(7)低所得者に対する支援と生活保護制度
(8)福祉行財政と福祉計画
(9)保健医療サービス
(10)権利擁護と成年後見制度
(11) 障害者に対する支援と障害者自立支援制度
(12)精神疾患とその治療
(13)精神保健の課題と支援
(14)精神保健福祉・相談援助の基盤
(15)精神保健福祉の理論と相談援助の展開
(16)精神保健福祉に関する制度とサービス
(17)精神障害者の生活支援システム
※(16)と(17)を併せて1科目とし、全16科目とみなすケースもあります。
精神保健福祉士試験で一発合格を目指すなら
合格基準クリアを前提とした準備がポイント!
精神保健福祉士試験では『総得点の60%程度を基準』と合格基準が決められています。
満点が獲れればそれに越したことはありませんが、無理に満点を目指す必要はないのも正直なところです。
実施試験状況によって多少変更されることはありますが、まずは合格基準をクリアすることを前提とした、準備を進めるとよいでしょう。
また、合格率で見れば、精神保健福祉士はそこまで難しい試験ではないはずです。
問題集で試験形式に慣れる!
合格基準をクリアするための勉強方法として、まず問題集などで形式に慣れることから始めることをおすすめします。
精神保健福祉士の試験形式は、「5肢択一を基本とする多肢選択形式」となっています。
見直しの時間などを考えても、試験本番で1問あたりに費やせる時間は1分ぐらいが目安ではないでしょうか。
問題集に取り組むときは無理に正解を導こうとせず、場合によっては消去法で進めていくこともテクニックのひとつでしょう。
結果、試験時間を意識した練習にもなり、一発合格に近づくと考えられます。
テキストや過去問は最新版を使用しましょう!
法改正などにより変更があれば、問題に対する正解が変わることもあります。
精神保健福祉士試験のテキストは毎年発刊されていますので、対応している最新版を使用するようにしましょう。
また、過去問についても遡っても2、3年前程度が妥当ではないでしょうか。
精神保健福祉士試験を受けるには
受験資格を満たす必要がある!
例えば、保健福祉系ではない一般の大学を卒業した場合、一般養成施設等で1年以上勉強するか、もしくは、保健福祉系のカリキュラムを持った大学に3年次編入する必要があります。
一般養成施設で受験を目指す場合:
通信課程と通学課程の両方があり、通学課程には昼間のコースと夜間のコースがあります。
自分の住んでいる地域やライフスタイル、勉強のしやすさなどによって講座を選ぶとよいでしょう。
カリキュラムとしては、自宅学習に修了試験、またスクーリングや現場実習などが入ります。
また、昼間精神科病院で働きながら夜間に勉強するスタイルを選べる施設もあります。
国家試験の模擬試験や直前対策などが組まれている場合もあります。
保健福祉系のカリキュラムを持った大学に3年次編入する場合:
社会福祉士の受験資格を一緒にとれたり、養護教諭一種免許状・高等学校教諭一種免許状がとれたりする場合もあります。
そのために一般養成施設ではなく、大学編入の道を選ぶ方もいます。
精神保健福祉士試験の受験資格・資格概要については『社会人から精神保健福祉士(PSW)になるには?受験資格とおすすめ通信講座を紹介』でも紹介しています。
ぜひ、参考にしてみてください。
精神保健福祉士(PSW)の学校選びで困ったら
自分に合った学習方法を決める!
一般養成施設等、保健福祉系大学ともに、通学・通信の学習方法があります。
費用は通信コースの方が一般的には安く受講できますが、家で一人で勉強することに不安がある方などは通学コースを選んだ方がよい場合もあります。
自分の好きな時間に勉強したい方、通学コースは通いにくい地域に住んでいる方、なるべく安く受講したい方などには通信コースは最適だといえるでしょう。
スクーリング場所を確認する
なお、通信コースを選ぶ場合でも、スクーリング場所が通える場所なのかどうかを考える必要があります。
現場実習先が限定された地域の講座もありますので、その点はしっかりと確認するようにしましょう。
受講費用例
受講費用についての一例ですが、保健福祉系のカリキュラムを持った大学に3年次編入し通信コースを選んだ場合、2年間で数十万円の費用がかかります。
また、社会福祉士の受験資格や教諭免許状を一緒に取りたい場合は、金額が上がることもあります。
一方、一般養成施設で1年以上勉強する場合には、通学コースだと100万円を超える場合があります。
通信コースを選んだ場合はもう少し安くなります。
このように、通学コースを選ぶよりも通信コースを選んだ方が一般的には安い金額で受講ができます。
なお、すでに社会福祉士の資格を持っている方、福祉系大学で基礎科目を履修した方などが通う短期養成施設は、専門実践教育訓練給付金の対象となっている講座もあります。
かなりの金額が給付される場合もありますので、自分が対象になっていないかどうか調べておくとよいでしょう。
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