喀痰吸引等研修とは?
たんの吸引等を行うことができる
「喀痰吸引等研修」とは、たんの吸引などをこなせる介護職員を養成するための研修のこと。研修は「基本研修」「実地研修」の2種類に分かれており、どちらも修了することで「たんの吸引」「経管栄養」を施せるようになります。
とはいえ、これらの行為は患者の人命に関わることもあるため勝手に行えるわけではありません。医師の指示や医療機関との連携がきちんと整備されているということが最低条件です。また、上記の条件に加えて「登録喀痰吸引等事業者」という申請を都道府県側に提出する必要があります。この申請は事業者側が行うため、研修を修了した方の勤務先が届出を提出していない場合はたんの吸引等を施せないので注意しましょう。
このように、実際に業務を行う上でのハードルはいくつかあります。しかし、たん吸引等を実施できるスキルは現場からの需要もあるため、仕事の領域を広げたいという方にとってはオススメの研修と言えるでしょう。
研修費用は6万円~15万円
喀痰吸引等研修費用は、だいたい「6万円~15万円」が相場と言われています。基本的には第1号研修と第2号研修の費用が高く設定されていることが多いと言われています。
ただし、相場に幅があることからも分かる通り、どのスクールや施設で研修を受講するかによって費用が大きく異なるので注意が必要です。例えば、研修を行うスクールによって20万円近くかかることもあれば、「実地研修を1項目行うごとに3万円」というような料金設定をしている場合もあります。
このように取得できる資格が同じでも費用面で大きな差が出ることもあるのでしっかり確認しておきましょう。近年では事業者側で国や自治体による助成金や補助金を活用できるケースもあるので、なるべく費用負担が少ない方法を選ぶことも重要です。
喀痰吸引等研修の資格取得方法
先述の通り、喀痰吸引等研修は基本研修と実地研修に分かれており、どちらも修了することが資格の取得条件です。
基本研修は、さらに講義と演習に分かれています。講義では「人間と社会」「保険医療制度とチーム医療」「安全な療養生活」などの定められた講義を合計50時間受講することが求められます。そして演習では、「喀痰吸引・口腔内(5回以上)」「喀痰吸引・気管カニューレ内部(5回以上)」「救急蘇生法(1回以上)」など定められた演習項目を指定回数以上実施することが必要です。
実地研修では、上記演習項目で行なった項目を実際の現場で複数回実施します。具体的には「喀痰吸引・口腔内(10回以上)」「喀痰吸引・気管カニューレ内部(20回以上)」という形です。
また、喀痰吸引等研修は第1号研修・第2号研修・第3号研修と分かれています。
いずれも基本研修と実地研修を修了しなければいけない点は同じですが、それ以外に以下のような違いがあるので確認しておきましょう。
・第1号研修と第2号研修
不特定多数の患者に対してたん吸引等を行うことを想定している研修です。必要な講義時間や演習科目等は基本的に同じです。
・第3号研修
筋ジストロフィー、高位頚椎損傷、重症心身障害などを患っており、個別性が高いと判断された患者に対してたん吸引等を行うことを想定している研修です。第1号研修と第2号研修に加えて、講義科目を8時間受講し演習科目をそれぞれ1時間ずつ行う必要があります。
まとめ
このように、喀痰吸引等研修を修了することで従事できる業務の幅を広げられることが期待できます。スキルが増えればそれだけ現場からの需要も高まるため、仕事の領域を広げて転職に有効活用できる可能性も大いにあるでしょう。
資格取得までにはある程度の時間や費用もかかります。しかし将来の選択肢を増やすという意味で、この「喀痰吸引等研修」の受講を検討されてみてはいかがでしょうか?