介護福祉士のキャリアアップ・スキルアップには、どのような方法がある?
(1)キャリアアップ研修を受ける
最初にご紹介するのは、キャリアアップ研修を受けるという方法です。
介護福祉士向けの研修は非常に多く存在しており、受講するための要件も特に定められていないのが一般的です。
手軽に申し込みができる反面、研修内容は非常に実務的で勉強になるので多くの介護福祉士が利用しています。
日本介護福祉会に登録する
日本介護福祉会に登録することで専門のキャリアアップ研修にも参加可能になります。
こちらでは「ファーストステップ研修」など、介護福祉士の経歴に応じた適切な研修が用意されていますので、内容についていけないといった心配はいらないでしょう。
コストが抑えられる
研修のほとんどが時間も費用も大して負担にならない程度のものとなっています。
コストをなるべく抑えてキャリアアップを目指す場合は、キャリアアップ研修を積極的に受けてみるのがおすすめです。
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(2)上位資格である認定介護福祉士を取得する
介護福祉士の上位資格として設けられた「認定介護福祉士」資格を取得するのもおすすめです。
一般社団法人の「認定介護福祉士認証・認定機構」が、よりプロフェッショナルな知識を備えた人材養成のために定めた民間資格です。
介護福祉士の上位資格として、経験や知識から介護現場におけるリーダーとなれる人材が求められる資格になります。
介護職員としての実務能力はもちろん、現場の職員管理や指導、他職種との連携など多様な業務に対応できる力が認定されます。
一職員から現場責任者にステップアップを目指す際には取得を目指したい資格です。
地域との関わり
この認定介護福祉士資格の特徴として、地域との関わりも大きな要素の一つになります。
働いている施設だけでなく、地域全体の介護力を向上させるための助言や施策を提案する力も資格に含まれています。
活躍の場が広がる
資格取得によって活躍できる現場はより多様なものになるでしょう。
介護施設や事業所はもちろん、地域包括支援センターや行政との連携、更には学校や自治体での講義活動なども行われています。
介護業界のプロフェッショナルとしてキャリアアップを目指すのであれば、認定介護福祉士はおすすめです。
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(3)施設の介護長や施設長などの管理者を目指す
介護福祉士のキャリアップとしては、施設の介護長や施設長なども選択肢に入ってきます。
施設全体の責任者として管理・運営を行うのが業務の役目です。
こうした責任者を目指す方法は施設によって違いがあるものの、長く勤めることによって信頼と実績を積み重ねるのが代表的です。
しかし、介護長は施設に多くても2人、施設長に至っては1人のみですので道は険しいかもしれません。
また、勤続年数を重ねたとしても現場の施設長や介護長が退職しない限りは新任の可能性は限りなく低いのもネックでしょう。
資格や要件がある
特別養護老人ホームや介護施設によっては、省令により管理者になるための資格や要件が定められています。
それぞれ見ていきましょう。
特別養護老人ホームの場合は以下の3つです。(基準省令第5条第1項)
(1)社会福祉主事の要件を満たす者
(2)社会福祉事業に2年以上従事した者
(3)社会福祉施設長資格認定講習会を受講した者
介護老人保健施設の場合は次の通りです。(介護保険法第95条)
・施設の開設者は、都道府県知事の承認を受けた医師に管理させる。
グループホームの場合は、以下の施設などでの従事年数が3年以上であることが定められています。
・特別養護老人ホーム
・老人デイサービスセンター
・介護老人保健施設
・介護医療院
・指定認知症対応型共同生活介護事業所
また、厚生労働大臣が定める「認知症対応型サービス事業者管理者研修」の修了も必須となっています。
(4)介護支援専門員(ケアマネジャー)として相談業務を行う
ケアマネジャーの資格取得もステップアップに最適でしょう。
ケアマネジャーの仕事内容は、要介護状態になった人がより良い生活を送れるように、介護サービスを通したケアプランを作成することです。
ケアプランは介護サービスの予定表となっており、利用者の受ける介護プランが決定する重要な仕事です。
活躍の場
最近では、施設に入所する利用者よりも在宅介護者の数が急増していることから、在宅ケアマネジャーとして活躍する人が多いようです。
主な勤務先としては、自宅介護を利用する人のためのサービスを展開する居宅介護支援事業者、特別養護老人ホーム、自治体などがあります。
また、介護用具のレンタル事業を展開している民間企業への就職も増加しており、活躍の場は多いと言えるでしょう。
仕事の幅が広がり、管理者としての業務も増えますのでおすすめです。
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(5)訪問介護事業のサービス提供責任者を目指す
訪問介護事務所におけるサービス提供責任者もおすすめです。
リーダーの役割を担い、職員の管理やサービスの手配など全般的な業務を行います。
サービス提供責任者は役職や資格名ではなく、介護保険制度で定められている職業の名前です。
スケジュール管理や教育・指導、ケアマネジャーとのやり取り、利用者の家族との話し合い、計画書やアセスメントの作成など求められる知識は多岐に渡ります。
要件がある
目指すにあたり要件が定められていますが、介護福祉士取得者であれば問題ありませんので安心してください。
もし介護福祉士を取得していない場合は、以下の条件のいずれかに該当していなければいけません。
(1)実務者研修を修了している
(2)介護職員基礎研修を修了している
(3)ホームヘルパー1級資格の所有者
(4)看護師、准看護師、保健師のいずれかの資格を所有している
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(6)認知症ケア専門士のスキルを身につける
一般社団法人の日本認知症ケア学会が認定する「認知症ケア専門士」資格の取得もキャリアアップに最適でしょう。
認知症ケアに対する専門知識と業務における高度な技能を備えた専門技術士であることを証明する民間資格であり、認知症の利用者へのサービス向上が見込めます。
認知症ケアに対する技術は非常に専門的であり、職員同士の話し合いでも知識の有無によって進捗が大きく異なるのが特徴です。
現場では自身の経験だけで業務を進めるのではなく、認知症ケア専門士として正しい知識をベースにした介護方法が求められています。
認知症の学習を深く掘り下げることで、職員同士の業務遂行が円滑になるほか、利用者にとっても快適な空間を提供することが可能になります。
待遇面で優遇される
有資格者は求人の際に待遇面で優遇されることがあり、資格手当が設けられることも多いようです。
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(7)看護師にキャリアチェンジする
職種を看護師に変更するというのも選択肢に上がるでしょう。
看護師の資格を取得することで、介護現場だけでなく医療の世界でも働くことが可能になります。
介護職員では行うことが認められていない医療行為も行えるため、仕事の幅が広がります。
資格取得の条件
資格取得するためには、専門の教育機関での単位取得や卒業が求められ、更に国家試験も突破しなければいけません。
看護師になるための学校には、看護大学、看護短大、専門学校などがあり、卒業までは3年から4年程度かかるようです。
准看護学校であれば2年制ですので、いち早く資格取得が望めるでしょう。
給料が上がる可能性も
難易度は容易ではないものの、介護福祉士で学んだ知識や技術は試験対策でも大いに役立ちます。
実際に介護福祉士から看護師にキャリアチェンジした人たちも多数活躍しています。
一般的には、介護福祉士と看護師では後者の方が給料が上がることが多いと言われています。
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(8)独立を目指す
大きなステップになりますが、自分で訪問介護事業所などを開業するのもひとつの手段です。
既存施設の職員として勤務するのではなく、独立開業を果たすことで給与面や業務内容も大きく変わることでしょう。
運営が軌道に乗れば介護福祉士として働いていた頃とは数倍以上の給与が期待できます。
さまざまな準備が必要
しかし、介護業界に限らず独立開業の道は険しいのが一般的です。
介護事業所として運営するには、介護保険の指定事業所にならなければいけませんが、そのためには法人格であることが求められます。
事業所立ち上げ時点である程度まとまった資金が必要な上、人材確保も進めなければいけません。
介護業界の知識はもちろんのこと、企業経営者としての能力も求められるのが独立の特徴です。
準備として日々の仕事をこなしていきながら、幅広い分野の学習や介護業界の人脈作りが求められるでしょう。
まとめ
今回は、介護福祉士のキャリアアップ方法を紹介しました。
研修への参加、資格の取得といった比較的簡単なものから、施設長や独立といった大がかりなものまで、キャリアアップの道は多様に広がっています。
どれも自身のスキルアップは欠かせませんので、日々の学習が大切かもしれません。
介護業界は今後ますます需要が高まることが予想されています。
キャリアアップに取り組みながら、未来の介護現場で活躍できる人材を目指しましょう。