国家資格とは
「資格」という単語は現代日本では様々な用途で使われていますが、ここでは、「業務・任務・サービスを行う際に必要もしくは有用である、能力や地位を認定するもの」としての資格について紹介していきます。
まず代表的な分類が「国家資格」です。国家資格とは、国の法律に基づいて、各種分野における個人の能力、知識が判定され、特定の職業に従事すると証明される資格です。つまり、日本の法律で定められた資格を国家資格と呼ぶことができます。 例えば、介護福祉士は社会福祉士及び介護福祉士法、保育士は児童福祉法という法律によって定められています。
業務独占資格とは
国家資格の役割の1つに、高度な業務に関して、専門知識やスキルを習得した有資格者しか業務ができないようにすることがあります。これらを「業務独占資格」と呼びます。
例えば、歯の治療は歯科医師、不動産の表示登記は土地家屋調査士、消防用設備の工事は消防設備士の独占業務です。業務独占資格のほとんどは国家資格で、業務独占という性質上、持っていると特定の業界での就職・転職に有利に働いたり、開業ができたりと、役に立つことの多い資格といえるでしょう。
名称独占資格とは
業務独占資格のほかに、「名称独占資格」というものもあります。これは業務上有資格者しかできないということはないけれど、その呼称を有資格者以外が用いることはできないということを指します。
例えば、心理の国家資格である公認心理師の場合、公認心理師以外の方もカウンセリングを行うことができますが、公認心理師と名乗ったり名刺に書いたりすることはできません。業務独占資格の医師の場合、医師以外の方が医療行為をすることは原則できないので、そこが業務独占資格と名称独占資格の違いになります。
名称独占資格は、世間に広く浸透しているものも多く、例えば栄養士は飲食業界だけでなく、その肩書を生かして、保育業界、介護業界、スポーツ業界など幅広い活躍が期待できます。
必置資格とは
もう一つ重要な「必置資格」についても解説します。例えば認可保育園には、0歳児の子ども概ね3人に保育士1人以上の配置が法律によって義務付けられています。これが保育現場で保育士資格がほぼ必須である理由の一つです。こうした必置資格は採用時に有利に働くので、取得する価値が高い資格であると言えるでしょう。法律によって配置が定められているため、基本的に必置資格は国家資格です。
公的資格とは
公的資格は民間団体や公益法人が実施し、厚生労働省などの官庁や大臣、地方公共団体(都道府県、区市町村)などが認定している資格です。知名度や信用度が高い資格もあり、就職や転職の際に有利に働くことがあります。
代表的な資格として、都道府県が認定を行うケアマネジャーや介護職員初任者研修などがあり、介護業界で資格取得者が活躍しています。また商工会議所主催の簿記検定やメンタルヘルス・マネジメント検定も知名度が高い資格です。
民間資格とは
民間資格は法律で定められていない、主催者が任意の基準で定めることのできる資格です。国家資格とは性質が全く異なり、国家資格の資格認定制度を模して、便宜上必要と思われる各種資格を「誰でも」作ることができます。そのため、取得する価値がないといわれる資格もありますが、一定の地位を得た資格もあるので一概には言えません。
例えば臨床心理士は民間資格ですが心理業界では最もステータスの高い資格の1つです(現在は国家資格の公認心理師も誕生)。TOEIC®L&Rも企業の採用基準に使われるなど市民権を得た民間資格といえるでしょう。
美容師やあん摩マツサージ指圧師は、専門技術を証明する国家資格です。一方、セラピスト、ネイル、アロマなど専門技術が必要ではあるけども、現時点では国家資格化していない業界というのも数多くあります。こうした業界では、民間資格のネイリスト技能検定試験2級がネイルサロンの採用基準に使われるなど、仕事に直結することもあります。
難易度別 役に立つ資格一覧
国家資格編
国家資格の中で、役に立つ機会の多いものをピックアップしました。但し医師や弁護士など社会人が今から目指すにはハードルが高いものはあえて除いています。
資格名 | 難易度 |
---|---|
危険物取扱者 | 比較的易しい |
保育士 | ふつう |
介護福祉士 | ふつう |
第二種電気工事士 | ふつう |
電気主任技術者(電験3種) | やや難しい |
社会福祉士 | やや難しい |
精神保健福祉士 | やや難しい |
幼稚園教諭一種 | やや難しい |
宅地建物取引士 | やや難しい |
キャリアコンサルタント | やや難しい |
社会保険労務士 | 難しい |
土地家屋調査士 | 難しい |
行政書士 | 難しい |
国家公務員総合職 | 難しい |
司法書士 | とても難しい |
公認会計士 | とても難しい |
税理士 | とても難しい |
公的資格編
公的資格の中で、知名度の高いものをピックアップしました。
資格名 | 難易度 |
---|---|
メンタルヘルス・マネジメント検定試験 | 比較的易しい |
介護職員初任者研修 | 比較的易しい |
登録販売者 | ふつう |
日商簿記検定3級 | ふつう |
ケアマネジャー | やや難しい |
日商簿記検定2級 | やや難しい |
日商簿記検定1級 | 難しい |
米国公認会計士(U.S.CPA) | 難しい |
民間資格編
民間資格の中で社会人や主婦の方におすすめの資格をピックアップします。
資格名 | 難易度 |
---|---|
TOEIC®L&R | 点数による |
介護予防運動指導員 | 比較的易しい |
動物介護士 | 比較的易しい |
CAD資格 | 種類・級による |
ネイリスト技能検定2級 | ふつう |
日本語教師 | やや難しい |
NLPプラクティショナー | やや難しい |
IFPA認定アロマセラピスト | やや難しい |
IFA国際アロマセラピスト | やや難しい |
臨床心理士 | 難しい |
資格を取って意味があるんですか?
「資格を取得すれば必ず仕事がある」は嘘です。国家資格の公認会計士を取得したからと言って、必ず就職先があるとも限りません。そもそも資格というものは、業務の許可、もしくは能力を証明するツールであり、仕事や就職の保証をするものではありません。
資格を取得することや、認定証やディプロマを掲げることももちろん重要ですが、本来は、勉強したことや身についたことに本当の価値を見出すべきです。取得するのが大変な資格を持っていれば、それだけで価値があるということでもないですし、取得が容易な資格は持っていても意味がないということではないのです。
学校・教材・講座を選ぶ際は、資格の名前や肩書にこだわらず、本当に自分が学びたいものはなんなのか、自分を磨くために必要なスキルはなんなのか、を突き詰めて考えていただきたいと思います。
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